備前市の離れの遺品整理|元薬局のお宅から西村春湖の備前焼と古い調剤道具

2026/06/17
備前市のお宅へ遺品整理屋さんのご紹介で伺いました。
母屋とは別に、使っていない離れがあるお宅です。
「もう何十年も開けていない離れなんです」
そう話すお客様の声には、少し戸惑いがありました。
このお宅は、古くから薬局と病院をされていたそうです。
離れには、当時の道具がそのまま残っていました。

「古い薬の道具なんて、値打ちはないですよね?」
離れの戸を開けて、まず目に入ったのが薬箪笥でした。 引き出しひとつひとつに、薬の名前を書いた札が残っています。 赤や黒の墨で書かれた文字が、時代を物語っていました。 「処分するつもりだったんです」とお客様。 「こんな古い物に、買い手なんていないと思って」 いいえ、そんなことはありません。 古い薬局の道具は、今ではなかなか手に入りません。 白い陶器の薬壺、目盛りの付いた計量カップ。 茶色や青のガラス瓶は、光を避けるための遮光瓶です。 薬を量るための天秤や分銅も、木箱に大切に収まっていました。
「これ、誰の作か分かりますか?」
調剤道具を見ていると、別の桐箱が出てきました。 中から現れたのは、備前焼の香炉です。 蓋には鳳凰をかたどった摘みが付いていました。 透かし彫りの雲文も、見事な細工です。

もしかすると、ご先祖との縁があったのかもしれません
西村春湖が活躍したのは、明治から昭和の初めです。 ちょうど、このお宅が薬局をされていた頃と重なります。 これは私の想像にすぎませんが。 おじい様か、ひいおじい様の代でしょうか。 西村春湖作品がかなりの数ございましたので、作家と親しい間柄だったのかもしれません。 そう思うと、この香炉が一層いとおしく感じられます。 古い品には、こうした物語が眠っています。 長く放置された場所にこそ、宝が隠れているのです。ほかにも、こんな品がありました
離れには、まだまだ面白い品がありました。- 昭和初期の鉄製アンティーク扇風機
- 籐で編んだ手あぶり火鉢
- 戦前の記章を収めた額装
- 染付の煎茶碗の五客組(共箱付き)
- 浮世絵の額もの